2022.8月号
「電力需給ひっ迫」
先月より、電力の需給ひっ迫による節電のお願いがニュースとなっていますが、2018年9月におきました北海道胆振東部地震によって発生しましたブラックアウトも、発電所の緊急停止による、需給供給バランスの乱れが原因となっており、今回の東京電力を中心とした電力需給ひっ迫注意報も、火力発電所の旧式化、原子力発電所の再稼働延期により、需給と供給のバランスが崩れ大規模なブラックアウトの可能性が高まったため、ニュースでしつこいぐらいに節電のお願いがされていました。
そんな中ではありますが、日産と三菱が開発した軽EV(電気自動車)発売がCMでじゃんじゃんと流れており、大丈夫なのかなと心配になりました。以前にもこのコラムでお話させて頂きましたが、国内すべての乗用車をEVにした場合、原子力発電所10基を増設しなければならないと試算が出ており、今回の参院選でも各党のテーマとなっていましたが、原子力発電所の再稼働可否、再稼働しないのならばどのように電力を確保するのか、風力、太陽光等の自然エネルギーでカバーをすると言っている政党もありますが、海岸線や山をソーラーパネルで埋め尽くすのが、私には自然や環境に優しい発電とはどうしても思えないのです。
どのようにEV化社会を支えていくのかグランドデザインも描けないまま、EVが増え続けると、国民に節電のお願いだけでは、いつかは限界がくるのでしょう。
それにしても三菱軽EVのCMで「ガソリンスタンドに行かなくて済むのですごく楽です!」などと言われるたびに、スタンドに来るのは、お客様にとって煩わしいことなのかと寂しくなります。スタンドが30~60kmもない過疎地も北海道にはありますが、根室で言えば4~5km圏内には1~2軒スタンドはあるはずですし、給油時間も平均2~3分で済んでしまいます。市内のスタンドは別として、郡部にあるスタンドの維持は大変で、不採算のところも多いかと思いますが、供給への責任感によって運営されている地元企業の頑張りを考えるならば、配慮の足りないCMではないかと同業者贔屓から思ってしまいます。
電力供給に不安を覚えつつもEVへの乗換が進む主な理由に「スタンドに行く苦痛から解放される」というならば、業界人として悲しいことであり、これほど屈辱的なこともありませんが…
魚谷 直世 記
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