2022.7月号

 「少子高齢多死化」

 

 総務省が公表した人口推計によると、2021101日の時点で日本の総人口は前年から644,000人減の12,550万人、過去最大の減少幅となり、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏はツイッターで「日本はいずれ存在しなくなるだろう」とつぶやきました。

 この人口減少が加速している原因は少子化と一般的には言われていますが、1組の夫婦から平均して生まれる子供の数は、第二次ベビーブームと言われる1972年で2.2人、2015年では夫婦あたり1.94人と実はそこまで変化はしていません。では何故少子化になっているかと言うと、1985年の調査では結婚し子供を一人以上出産する女性の数は約1060万人いましたが、2015年には497万人と約半分まで減っており、つまりは今の人口減少は少子化ではなく晩婚化、未婚化が主な原因となっているということです。

 日本は少子化担当大臣を置き、子育て支援策に重点を置いてきましたが、出生数を増やすのならば、仕事と子育てを両立できる環境整備や経済的な不安定感を整える方が効果的だったのかもしれません。

 また日本の人口減少はこれだけではなく、シンクタンクの予想では高齢化が進む日本では2024年から毎年150万人以上が亡くなる、多死化の時代が来ると言います。太平洋戦争中の死者数にも匹敵する人数ですが、これが約50年間続くため、このままの推計では2022年から2100年までに11,576万人が亡くなり、生まれてくるのは4,728万人、差し引きで6,850万人の人口が消滅し、日本の人口は約半分になるとのことです。

 これは日本全体の話で、我々のような地方は更に少子高齢多死化が急激に進んでいくと思われます。この問題に特効薬はなく病気のように徐々に日本の国力を落としていきますが、当面の問題は社会保障費をどうやって賄っていくのかということで、現役世代から更に徴収することとなれば、ますます婚姻率は低下し、イーロン・マスク氏のつぶやいた通り、「日本はいずれ存在しなくなる」のかもしれません。

 この人口減少という避けられない未来、多くの事が機械自動化となり、移民の手を借りなければ、まともな生活が送れないという日はすぐにやってきます。全ての商売はフォーマットチェンジかフェードアウトの2択が迫られてきますが、はたして変われるのか…                

                                             魚谷 直世 記

 

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