2020.7月号
「備えましょう」
今月に入りようやく、緊急事態宣言も全国的に解除されました。感染者が減少傾向なのはもちろんですが、このタイミングで少し規制を緩めないと国民生活や経済活動が成り立たなくなると判断した部分もあるのか、政府がコロナ対策で設置した「基本的対処方針等諮問委員会」には新たに経済の専門家が4人招集され、感染拡大防止と経済活動の再開、反する2つの目標を追う形となります。
この緊急事態宣言が解除されても、すぐに経済は戻るわけではなく、インバウンドに傾注していた日本の観光関連業はまだまだ厳しい状況が続きそうです。そして世界中の研究者が警鐘を鳴らす「第二波」ですが、このような世界的流行は以前にも発生しており、今は「インフルエンザ」と呼ばれていますが「スペインかぜ」が約100年前にも今回と同様の世界的流行が起こりました。
1918年3月に米国と欧州で始まった「スペインかぜ」感染力は高いものの致死率はそれほど高くありませんでした。しかし、同年の秋ごろから第二波が発生し再び米国と欧州で流行、致死率は第一波の10倍ともいわれ、しかも15~35歳の健康な若年者層において最も多くの死者が発生しました。そして1919年のはじめに第三波が発生、一年間に3回の流行が発生した結果、日本では38万人、全世界では5千万から1億人ともいわれる人が亡くなり、収束しました。この「スペインかぜ」の収束はワクチンが開発されたためではなく、生き残った人たちが抗体を獲得することで集団免疫によって収束したとのことです。
この100年間で科学技術は格段に進化しており、もうすぐワクチンが開発され、コロナが恐れられるウイルスではなくなる可能性もありますが、今の事態を楽観的に考えている研究者は少なく、ハーバード大学の研究では2022年頃までコロナウイルスによる、自粛は繰り返され、そして終息後も元の生活に戻れると想定するのは「非現実的」としており、長期戦を我々は覚悟して準備しなければなりません。
あまりに急激に時代が変わったため、変化に対応しきれていませんが、いくら声高に政府を批判しても、感染を防ぐのは自らの意思でしかありません、第二波は必ず来ると想定し、今は企業も個人も速やかに備えて、今の生活スタイルは変わったのだと認識する必要があると思います。
魚谷 直世 記
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