2020.3月号

 「いきなり」

 

 「いきなり!ステーキ」はご存知でしょうか?2013年銀座に1号店を出店し「ステーキを低価格で提供する」をコンセプトに6年間で全国500店舗近くにまで拡大しお隣の釧路にも2店舗がありましたが、最近のニュースでも出ていたとおり不採算店を閉店する方針で、春までに全店舗の1割に相当する44店舗を閉鎖するとのことです。

 釧路も1店舗が閉鎖となり、「いきなり」開店して「いきなり」閉店したと釧路では話題になったそうで、私も釧路に行った際に一度だけ食べたことがありますが、極端に安いと言うわけでもなく、味も言ってしまえば普通のステーキ、昭和のビフテキ時代ならば喜ばれたかもしれませんが、今は飽食の時代、何故「いきなり!ステーキ」がここまで店を拡大できるのかが不思議に感じていました。

 この大量閉店も話題となりましたが、社長直筆の告知も話題となっており、長いので省略しますが「お客様のご来店が減少しており、このままでは店を閉めることになります。」このメッセージには色々な反応があったようで、この反応に気を良くしたのか、今では毎月社長のお言葉として直筆のメッセージが店頭に貼られているそうです。

 もし我々の会社が「ガソリンの販売数量が減少しています、このままでは…」という私の直筆メッセージを掲示したら「ふ~ん、大変だね」「字汚いね」で終わりそうな気もしますが…。この「いきなり!ステーキ」の失敗について、ある経済ジャーナリストは、限られた店舗だと希少性からお客様が集まっていましたが、店舗が増えたことで真新しさがなくなり、自社の店同士がお客様を奪い合う「カニバリズム現象」が起きたとのこと。

 いわゆる共食い状態ですが、この現象は我々の業界でも起こっており、元売会社の統合により、今のガソリンスタンド業界は右も左も「ENEOS」という状態になり「ENEOS」の敵は「ENEOS」というカニバリズム現象が起こっていますが「いきなり!ステーキ」のように、いきなり大量閉店はないものの、根室市内でも同じ「ENEOS」の店舗が2月末に1カ所閉鎖となるそうです。

 生物学者ダーウィン曰く「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのではない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」これからの時代、商売はいかに変化することが出来るかが、継続のカギとなります。

                                            魚谷 直世 記

 

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