2019.9月号
「スマホが弛む」
セブンイレブンの店頭で、スマートフォンを提示するだけで買い物ができる決済サービス「セブンペイ」が9月末に終了することになりました。「えっ!やめちゃうの!」と思った方も多いかもしれませんが、7月1日のスタート直後から不正アクセスが相次ぎセブンイレブンの日、7月11日の発表時点で1574人のIDとパスワードが不正に利用され、被害額は約3240万円に上るといいます。
セブン&アイ・ホールディングスは、継続は困難と判断し撤退を決断しました。開始前は全国2万店舗と日本最強の店舗数を武器に日本における「キャッシュレス社会の主役」となるはずでしたが…小学生でも破れるセキュリティと言われ結果はあっさりと撤退、被害は小さくはありませんが、セブンとしては早い段階で教訓を得た形となりました。
この先、キャッシュレス化が進むにつれて、このような不正利用は更に増えて大規模になると見られ、この一件は「氷山の一角」と警告する専門家は多くいますが、個人的には「そんなに急いでキャッシュレス化しなければいいのでは…」と思ってしまいます。しかし、税収を増やさなければ、社会保障費での破綻が見えている日本としては、お金の流れを明確にして脱税を防止し、お金の流通量を増やし効率的に税収を上げる等々の色々な思惑もあるようで、実際に東北楽天イーグルスのホーム、楽天生命パーク宮城では売店を完全キャッシュレス化したところ、売上が昨年比26%も伸び、同じく楽天のサッカーチーム、ヴィッセル神戸のホーム、ノエビアスタジアム神戸ではキャッシュレス化で50%も売上が伸びたとのことで、その理由としてスムーズに買い物が出来るうえ、ポイント還元等もあり、ついつい財布ではなくスマホが緩んでしまうとのことでした。
実際にはお金を触っていないため、金銭感覚がマヒしているだけではと思ってしまいますが、キャッシュレス化による消費拡大の効果は確かに大きいのかもしれません。どちらにしても10月の消費増税に伴い、国を挙げてのポイント還元キャンペーンによりキャッシュレス化は進んでいきますが、はたして近い将来、子供もお年寄りもスマホをかざして買い物をする世の中になるのか…中国等を見ると意外と急激にキャッシュレスの波は来て、お祭のお小遣いもスマホ同士で渡す日が来るのかもしれませんね
魚谷 直世 記
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