2019.7月号
「CASA」
5月、参議院で「改正道路運送車両法」が成立しました。あまりニュースでは話題にはなりませんでしたが、この法律により2020年を目途に高速道路での自動運転や無人自動運転サービスの実用化が可能となります。
2017年にドイツのアウディが高速道路で自動運転ができるレベル3のシステムを搭載した「A8」の発売を発表しましたが、日本国内での法律が当時未整備だったため、「A8」は人間による運転を前提とした自動運転レベル2に抑えて発売されており、テクノロジーの進歩に対して国のルールが追いついていない状態でしたが、今回の改正により、ようやくそれが追いついてくることになります。
今までは世界の最先端であり、自動車業界をリードしてきたはずの日本の自動車技術ですが、自動運転の分野では法律面でも、技術面でも世界の先進国から遅れをとっており、世界の自動運転システム開発ランキングではアメリカの「ウェイモ」がトップとなり、上位はアメリカ、ドイツの企業が独占し、中国の大手ITメーカー「バイドゥ」が8位、9位でようやく日本の「トヨタ」と、この分野では米独中の3強体制に入りつつあります。
様々な予想がありますが、このまま技術が進んでいくと、2027年頃までにはタクシー、バス等交通機関やトラック等物流の無人化が始まり、一般車には2030年頃から自動運転車が普及、2040年頃には、人間が自動車を運転するのは「禁止」になるという予想もあり、そうなれば今も毎日のように交通事故のニュースは流れていますが、事故の原因となっていた人間が除かれ、事故は無くなり、誰もがどこでも移動しやすい世の中が来るのかもしれません。そして、その未来は遠い未来ではなく、たった10年前後で大きく「移動」という概念が変わってきます。
今、自動車業界は「100年に1度の大改革」と呼ばれておりますが、具体的には「CASE」と呼ばれ、「C」はコネクテッド、ネットワークとの接続。「A」はオートノマス、自動運転となり、「S」はシェアリングエコノミーで共有化、「E」はエレクトニックで電動化となり、大きく4つの分野での改革が推進されていきます。
我々の業界が石炭から石油に一気に変化したように、10年後は創造出来ない未来が待っています。未来は楽しみですが、その頃の日本はどうなっているのか、今の我々にかかっています。
魚谷 直世記
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