2019.3月号
「災いのもと 」
昨年から続いていました、フランスのデモは2月に入り、ようやく沈静化の兆しが見えてきました。王妃マリー・アントワネットが飢えに苦しむ民衆に対し「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」と言い国民の怒りを買ってフランス革命でギロチンにかけられたのは有名な話ですが、マクロン大統領が「ガソリンが高ければ電気自動車に乗りかえればいいじゃない」と言ったかどうかは知りませんが、このデモの発端は燃料税引き上げに対する抗議デモが激化したことから始まりました。
元々フランスはガソリン税63%、軽油税60%と欧州の中で最も高い燃料税を掛けており、更にマクロン大統領就任以降、緊縮財政による教育・社会保障費の削減や公共料金の相次ぐ値上げによってフランス国民の不満が高まっていたところへ今回のガソリン税で+7.5%、軽油税で+15.7%と更なる増税の発表で遂に暴動となりました。
暴徒化したデモ隊は警官隊と衝突し乗用車や建物等を放火、観光客に人気のデパートは閉店、エッフェル塔やオペラ座などの名所も閉鎖され、年末年始の観光シーズンに大打撃となり、マクロン大統領の支持率は就任後最低にまで落ちました。現代はギロチンが無いだけマシなのかもしれませんが、2040年までにフランス国内におけるガソリン車及び軽油車の販売を禁止する等で「脱石油」に積極的なマクロン大統領の失脚を狙うのは国内のみではないのかもしれません。
2011年から始まった中東の「アラブの春」もSNSで波及され、中東全土を巻き込み、現在もシリアでは泥沼の内戦が続いていますが、今回のフランスでのデモもSNSからデモを支持する作為的な発信がされており、石油を資金源とする大国の関与が疑われております。
石油の利権を脅かすと、国内を混乱させるという脅しにもとらえられる今回の暴動ですが、いかに現代人がSNSを情報源として信用しているかという教訓にもなりました。我々も昨年の胆振東部地震では、根拠のないデマがSNSで拡散され、情報に振り回されることになりましたが、SNSで発信される情報はすべてが真実ではなく、その中には思想や行動の誘導を狙ったウソもあると理解して使わなければなりません。中高生のSNSでのイジメが社会問題となる中、SNSは教育の一環として学ぶ時期がきています。
魚谷 直世 記
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