2017.7月号
「ビールとガソリン 」
ようやく暖かくなりビールが美味しい季節になってきました。とは言ってもビール好きの私としては春夏秋冬どの季節もビールは美味しいのですが、悲しいことに今月よりビールが10%~20%値上げとなりました。原材料費や運送コストの値上がりが原因ではなく、改正酒税法が施行されたための値上がりとなります。この改正法では、安売りをした業者に対し、行政からの改善指導命令に従わない場合は50万以下の罰金や酒類販売免許の取消等で厳罰化されており「酒の安売り規制法」と言われています。
昔は「サザエさん」に出てくる三河屋さんのように、ビールは酒屋さんが届けてくれるものでしたが、今はスーパーやコンビニのシェアが急増し過当競争が進んだことで酒屋さんのビールシェアは14%程度にまで落ち込んでおり、これにより酒税の税収が不安定になるのではないかという懸念から今回の法改正に繋がりましたが、販売量によりリベート(報奨金)を渡すアンフェアな商慣習を無くすのが本来の目的とも言われ、ビールメーカーもこの法改正を歓迎していると言われています。
本来ならばシェア拡大のために自ら作った商慣習は自ら止めるべきですが、政治を使って止めてもらうというのは、お酒業界だけに自分ではやめられないので、病院で治療してもらうアルコール依存症の治療とも似ている気がします。
我々の業界もガソリンはお酒と同様に重要な税収を担っており酒税総額1兆3千億円に対しガソリン税は2兆5千億円と約2倍近くの税金を納めており、販売量によるリベート文化も根強く残っています。過疎化が進んだ街ではガソリンスタンドが廃業してしまい、街で給油できないSS過疎地問題が徐々に増え問題になっており、いずれ我々の業界もお役所が価格を決める価格統制が入る時代がくるのかもしれませんが、自由な経済活動を規制するのは、業界の成長、発展を阻害することになりかねません。そんな時代が来たら歓迎すべきか、反対すべきか、ビールでも飲みながら考えていきたいと思います。
魚谷 直世 記
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