2016.2月号

「白目の役割

 

近年、高齢化や少子化が進んでいるせいか、私の周りでも犬や猫を飼う人が多くなってきました。私自身も動物が好きで子供が大きくなったら犬でも飼おうと思っていましたが、30歳を過ぎたあたりから、動物の毛アレルギーになり長時間動物を触ることが出来なくなったために、ペットショップに行っては犬や猫とガラス越しで触れ合うことが至福の瞬間になりました。ペットショップの方と話す中で、近年ではあまり小さいうちに犬猫を販売しない方針になったそうで、あまりにも早いうちに親犬と離してしまうと、犬としての社会性が少なくなってしまうためだそうです。仔犬スクールというのも存在しますが「お手」「おすわり」等々、人間にとって都合のいい「しつけ」のみを教えていることが多いようで、ペットブームの影響か最近の犬は他の犬との関わりが苦手といいます。

これと似たような話を小中学校の教育現場からも聞いたことがあり、学問の教育はされていますが、人間関係において、人対人の関わりが少ないことでコミュニケーション能力が顕著に低下しているといいます。このコミュニケーション能力は動物の中でも特に人間は進化していく中で重要視している能力で、そのために人間の目には白目が目立つようになっていると言われています。この白目が目立つというのは目線が読まれてしまうため弱肉強食の動物社会にとっては大きな弱点で、ほとんどの動物には白目が目立たないようになっていますが、人間はその弱点を受け入れてもコミュニケーションのため白目を目立たせるよう進化しました。

「目は口ほどに物を言う」と言うように、昔からアイコンタクトはコミュニケーションの場において重要視されており、人の喜怒哀楽を最も表すのは「目」であり、口先が上手くても目には本性がでてしまいます。近年のコミュニケーション能力の低下は携帯機器の発達とともに直接会わなくても用件を伝えることが出来てしまうためとも言われていますが、やはり何か重要な「思い」を伝える場合には「会って話す」で「会話」が重要になると思います。メールや電話で済むことも、たまには直接会って話をするというのも新しい発見がありいいものです。2016年も多くの人と会話大切にしていきたいですね。

                                          魚谷 直世 記