2015.8月号
「人磨き 」
今年も新規卒業求人表の提出が始まり、各社が2016年入社の新入社員を求め活発に活動し始めました。この時期は普段聞くことが出来ない、学校の先生方から今の学生の傾向を聞く機会が多くあり、面白いもので毎年、その年により特徴があります。ここ数年共通する話題となるのが、学力の低下で2017年には現在の根室高校、根室西高校の2校体制から根室高校1校体制に変わることで、更なる学力の低下が心配されており、この学力低下の一因として上げられるのが、小中学校時代の基礎学力が身についていないことがあげられます。
この学力問題は田舎、都会という環境面の問題だけではなく、実際に小中学校の学力テスト都道府県別一位は、ここ6年連続で大変失礼な言い方をすると大都会とは言えない秋田県となっています。「学校の勉強など社会に出たら役に立たない」「どうせ就職するし」と考えている学生も多くいるように感じますが、学校と会社の大きな違いは、どの会社においても競争社会であるということです。漁師や営業、事務どのような職種職業であろうと、労働によって給料を得るには、多くの労力を必要とし、同業他社や社内においても必ず競争があります。勉強や部活等で競争をせずに育ってきた学生が、いきなり社会に出て競争を勝ち抜くというのは難しい話かもしれません。
根室市においても補助教員を置く等の学力レベルの向上策は多々出ておりますが、この問題を改善するには、少人数でも都会並みの競争社会にするしか方法はないように思います。現代は個人のプライバシーが優先されるため実施してはいませんが、テスト成績の張り出しは一部の学校でもまだ行われており、一定の効果を上げているといいます。「ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けないように、人は人によってでしか磨かれない」この言葉の通り、人口の少ない街に住む我々が、都会の人間より輝くには、より人間同士の磨きあい、競争が必要とされてきます。今、根室の経済状況はどんどんと厳しくなってきますが、そんな時代でも他の地域に負けない競争力のある人づくり、それが街づくりに直結してきます。
魚谷 直世 記