2013.9月号
「赤い車と消費税」
車を購入する際、選ぶ楽しみの一つに「色」があるのではないでしょうか?最近の車はカラーバリエーションが豊富で黄色や水色、ピンクの高級車というのもあります。しかし一昔前まで車の色というのは限定されていました。1962年の自動車ショーに登場したホンダ初の四輪自動車の色は「赤」でした。当時は消防車の「赤」と救急車の「白」は緊急車両が使う色として「赤白」は車に使うことは出来ませんでした。しかし、今や世界的な企業となったホンダの創業者・本田宗一郎氏は「赤はデザインの基本。世界の一流国で国家が色を独占している例など聞いた事が無い」と苦労の末、規制撤廃を成し遂げました。没後22年本田宗一郎氏は今の世をどう見るでしょうか?
我が国の消費税は1989年から始まり、2004年には総額表示、つまり店頭価格はすべて税込で表示となっています。この時に小数点以下の表示も併せて禁止されたのですが、我々の業界だけは155.8円等々いまだ小数点以下の表示が横行しています。来年4月より段階的に消費税が増税となりますが、それに合わせ「消費増税分の価格転嫁を円滑にする特別措置法案」が6月に参院で成立しました。この内容の一つに「税込表示の価格を義務付けない」とあり、店頭の表示価格は再び消費税抜の表示価格に戻る可能性があります。
段階的に消費税を上げるために商品価格が高くなるのを少しでも誤魔化そうとしているのではないかという思惑も疑ってしまいますが、これにより価格表示方法の変更はもちろん、コンピュータ管理となっている経理管理ソフトの更新、POPや値札の変更等々、現状でさえ消費税の二重課税となっているガソリン税、消費税は課税されない軽油税と複雑な税務処理を行う我々にとって混乱は避けられない状況です。又「消費税還元セール」等の広告も禁止と定められました。大手が優越的な地位を乱用し、中小・零細の納入業者に負担を迫るのを禁止するためと言うが、商品を適正な価格で販売するにあたり、国家が過度に口をだし規制固めにするのは世界一流の資本主義国家がやることなのか、ぜひ本田宗一郎氏に意見を聞きたいところです。
魚谷 直世 記