2013.4月号
「エコ」のつもりが「エゴ」だった
先日ある新聞一面に発送電分離5年後をめどにとの記事がありました。電気の発電、送電、小売を分けるとのこと。これにより新規の電気事業者が参入し、競争原理により電気料金が安くなるというものです。この発送電分離というのは、ほぼすべての先進国で採用されていますが日本の場合、これから本当に電気料金は下がるのでしょうか?
北海道の場合その電力の約半分を泊原発に頼ってきました。しかし、震災により泊原発は停止したまま再稼働の目処はたっていません。311の震災までは盛んにCMに流れていた「オール電化」は昼間の電気料金の約3分の1以下の価格の「夜間電力」を利用するもので一時期ブームともなりましたが、そもそもなぜ「夜間電力」が格安なのかというと、火力や水力の発電方法と違い、一度稼働してしまうと出力の調整が出来ない、つまり昼間も深夜も同じ量の発電をしてしまう「原発」によって出てしまう深夜の余った電力を安く売っていたからなのです。しかし、原発の止まった今の状況で造られる「夜間電力」は石油やガスによる火力発電によって造られているわけです。貴重な石油エネルギーを使い何百kmにも及ぶ送電ロスを乗り越えてきた非効率的なエネルギーを現在の値段で供給できるのかは非常に疑問に感じるところで、そのせいか最近では「オール電化」のCMも見なくなりました。このままでは「オール電化」でせっかくアピールしていた「エコ」のイメージが電力会社の「エゴ」になるのではないかと余計な心配もしてしまいます。
東日本大震災より約2年、あの震災は多くの教訓を我々に残してくれました。特にエネルギーインフラの最前線に立つ我々に供給の責任や重要性というものを強く感じさせ、災害に強い会社を創るきっかけともなりました。我々がおすすめするのはエネルギーリスクの分散です。灯油、ガス、電気等それぞれのエネルギーの長所をうまく使い分けることで災害にも強い快適な家生活が送れるのではないでしょうか。これからお住まいをお考えの方は施工業者一社だけのお話を聞くのではなく、色々な方のお話やインターネット等で情報を集め判断していただくことを重ねてお勧めいたします。
魚谷 直世 記