2012.12月号

もし中小企業の息子がドラッカーの「マネジメント」を読んだら

 皆様「もしドラ」はご存じでしょうか? 弱小野球部のマネージャーとなった女子高生が本屋でマネージャーの本を探し、経営学の神様・ドラッカーの著書「マネジメント」を手にした彼女はサポート役の“マネージャー”と、経営者の“マネジャー”を勘違いしてしまう。しかし、企業の経営環境と、野球部を取り巻く環境には共通点があり、野球部をマネジメントすることができるということに気づき、野球部で問題がある度に「マネジメント」からヒントを得て改善して行き、野球部の甲子園出場を目指すというお話で、普段関わりのない経営学を、高校野球を舞台に置換えて解説するというわかりやすさで、小説のみでなく、アニメ・漫画・映画化もされた「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の略称です。

 この中で「イノベーション(革新)戦略の一歩は、古い、死に体、陳腐化これらを計画的かつ体系的に捨てること。これを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新たに解放できる」という理論に従い「送りバント」と「ボール球を打たせる」を「古い」として捨てて「ノーバント・ノーボール作戦」を実行します。これにより、チーム全体でやるべきことが絞られ、他の練習に専念することで目覚ましい成果を挙げたとの話があり。現実的ではない話ですが、イノベーションとは、過去の成功体験を払拭し、いままでの常識を見直すことなのだという例えです。

 確かに「言うは易く、行なうは難し」で多くの経営者も、“このままではダメだ!新機軸を打ち出さねば”と考えてはいても、実際のところは「昨日を守るために時間と資源」を費やしているように思います。しかし、自分が変わらなくても、この根室においてさえ経営環境はどんどんと変化してしまうものです。私の場合もイノベーションをと声高に社内では話しておりますが、実際は自分の食生活も改善できていません「ノービール・ノーからあげ作戦」はいつ発動されるのか・・・

                                            魚谷直世 記