2011.7月号

 何を急いでいるのか、家の自分の部屋そして会社の自分の机まわりを整理している。しかし、根気が無くなってきたせいか、すぐに飽きて、自分の好きなことに方向転換をして整理が進むものと進まないものがある。始末が悪いものの一つは、自分の歴史である写真とか記録されたスクラップ帳類もどきの物である。ある時などは40年前の写真2~3枚を見るだけでカミサンと楽しい会話が弾み、整理時間が過ぎてしまった。時として、一枚も残らず若き青春の一時をきれいに抹消したはずの写真が2人の前に出てきて気まずい整理時間を共有するハプニングもある。男の私にとって衣類などは簡単に、カミサンと違って、無頓着に捨てられるから苦労はない。もう一つ困っているのは、やはり男に多いと思われる収集癖があるモノである。これも20才頃からの本と絵である。地下の物置にカビ臭くなってある本は若き頃、転勤する度に移動してきたツワモノである。古本屋さんも嫌がると思われる。でも私にとっては一度再点検しなければ捨てられないものです。しかし本を再点検するには、どれだけの時間が必要になるだろうか。確かに、これからの時間はありそうだが気力は落ちていくだろう。時間が勝負ということが理解してきた。そうするうちに、一つの押入れの半分を占拠している物に当たった。ひな人形です。私には一男二女がいます。長女は定住型の長男の所に嫁ぎ、次女は転勤する型の長男に嫁ぎ、2人共に受取り拒否に会う。薄情者めが、これで育ってきたくせにと思うが・・・。こんな娘に育てた後の祭りである。さて残りの長男の嫁はと期待するが、この嫁は3男1女の子として、ひな人形つきの根室入りである。毎年1回出会う内裏様の顔を見て、どうしたもんだろうの溜息である。でも、物の後継はなんとかなると思う。ガラクタのモノの山を見る度にモノは所有から持分(分け合う)に向かうのが好ましい使い方であることが老いてくるとわかる。問題は会社の道を譲る後継のタイミングが悩ましい。道内の各地から白い封筒の挨拶がくるのが多くなってきた。中小企業仲間にても世代交代が猛烈にスピードをつけている。退き時の潮目を探している。

 (魚谷 直孝 記)