2011.1月号
色々な会・催しの挨拶の導入言葉に人口減、急速な高齢化、漁獲減などに起因する将来のボヤキ会話の占める率が多い中でセンウロコ・ブランド吉田水産の吉田社長さんと、お話しをしていると根室の未来が急に明るくなります。扱い商品を説明してもらうと、根室海産の命とする、サケ・サンマの名前が、ほとんど前面に出てこないのです。しかし、根室の水産加工会社なのです。夜、昼関係なく、つきあって長い関係です。先日も、電話が入り、おいしいラーメンを昼に食べに来ないかの誘いがあり、二つ返事で話に乗り、馳せ参じた。なんと、コラーゲン・ラーメンがテーブルに乗っていた。確かに、吉田氏は8年前位から「キンコ」「キンコ」と口にしていた。そうするうちに出張先は高級食材「干しナマコ」の本場、中国へと何回も渡っていた。私も1回、お伴をしたが、なんでも食べてやろう精神が薄いせいか、彼の口に入るものに付き合っていたら、こちらの胃袋がもたない。外国であろうと興味が湧いてくると、お店の厨房裏に入って行く始末である。その食べ物の探究心の深さには、つきあいきれないことがある。キンコから抽出できるコラーゲンを元にして「コラーゲン石けん」がすでに発売されており、ラーメンとパンは第2弾である。私も経営者の端くれ、このような開発型の商品は1,000に3つしか日の目が当たらない「千三つ」業界であると言われていることは知っている。御苦労は推し量れないがその気は全くもって表現しないから楽しい。農業社会はTPPなどの国際自由化の流れが強まる中で、高品質、高次化との対策が言われ始めている。我が漁業水産の町・根室は「サンマ漁獲日本一」奪還になったと報道されている。今まで、私達にとって当たり前のことだから、1位にこだわったことはない長い歴史がある。それがこだわりのニュースになることはサンマの地殻変動が起きていることを表現しているのであろう。明るい年になって欲しいと願っていたら東海大学と水産食品加工開発のテーブルについたとの話も聞き、「ねらい」は開発型企業と提案型組合を「産・官・学」で育成していく強い気が伝わってきた。最近は金融も入れて「産・官・学・金」と語る方も多くなってきた。一つの町には多様な会社、多様な人間が存在しないと良い町にはなれないと思う。根室ラーメン店の中で今日はコラーゲン・ラーメン限定3食分ありますなどの看板が見える初夢を見たい。
( 魚谷直孝 記 )